2014年1月14日火曜日

Vol.8 成田山新勝寺



「ぃよっ!成田屋っ!!」
目を極端に寄せる‘にらみ’が決まると、掛け声と大きな拍手につつまれます。
ご存知、市川團十郎や市川海老蔵の市川宗家の掛け声ですが、この成田屋、
成田山新勝寺が由来なのです。
子宝に恵まれなかった初代市川團十郎(1660‐1704年)が成田山に祈願した
ところ、見事男子を授かり、それ以来屋号を「成田屋」と称しました。




今年から「こんなとこチバ」と題して、千葉県のおもしろ・おかしい場所や人物イン
タビューを取り上げていきます。
記念すべき第一回目は、縁起のよい「成田山新勝寺」をご紹介します。



成田山新勝寺は、お正月の初詣客数は約300万人、明治神宮に次ぐ全国2位。
真言宗智山派の大本山で、成田山を知らない人はいないくらいですね・・・。
私も成田山には何度も足を運んでいますが、結構知らないことがたくさん!!
今回は、職員の方にご協力いただき知られざる成田山を取材することができました。



皆さんがお参りする大本堂の裏に、額堂(がくどう)と呼ばれる建物があります。
この額堂、なんとも「わびさび」を感じる趣きで訪れる人の心をつかみます。
元の建物は、近代演技者の最高とうたわれる7代目市川團十郎が奉納した物
なのですが、残念ながら焼失してしまいました。
現在の額堂には7代目の石像が泰安されており、ここでも市川宗家と成田山の
縁の深さを感じとることができます。












額堂の先を進み、右側の階段をおりていくと、広大な敷地の成田山公園が
あります。





165,000㎡もの敷地は、東京ドーム3個半もの広さ!
いざ、足を踏み入れると公園内は木々が茂り、一瞬にして大自然の中に
迷い込んだ感覚におちいります。



雄飛の滝は、故12代目市川團十郎が歌舞伎の演技に役立てるために、この滝に打たれたそう。
でも、一般の方は禁止です…。





電車や高速道路から見える平和の大塔。緑色の屋根に朱色が映えるこの大塔は、真言
密教の教えを象徴する塔。外国人観光客に人気だそうです。

 

さらに先を進むと、水琴窟と呼ばされる琴のピンッと張った優しい音色が聞こえる大甕が
あります。水が甕の中に落ちて反響する音は、とてもきれいで上品。
自然が奏でる芸術的な音色です。



その他、高浜虚子や松尾芭蕉の句碑が建っており、文人の叡智に触れることができます。


そしてとっておき!!うなぎの名店がこの公園内にあるのです!
隠れ家のような「名取亭」。市川團十郎・海老蔵親子が、必ず立ち寄ったうなぎの名店。
今でも、もちろん海老蔵さんは食べにくるそうです。
知る人ぞ知るお店です。
心優しい、気さくな女将さんが温かく出迎えてくれますよ♪




成田山公園を一周して本堂に戻ってきました。
成田山新勝寺は、真言宗智山派の大本山で、総本山は京都の智積院(ちしゃくいん)に
なります。
その他の大本山は、川崎大師平間寺と高尾山薬王院です。

成田山の本尊は不動明王。本堂には不動明王が奉られています。
この不動明王、少し強面で恐ろしいお姿をしています。
子供が見たら泣いてしまうくらいの迫力ですが、お心はやさしい慈悲に満ちています。

歌舞伎には「見得」(みえ)という芸があります。顔の表情やポーズをそのままにして、
しばらくのあいだ動かずにいることを指しますが、市川家にだけ許されたお家芸「不動の
見得」や「にらみ」は、不動明王への深い信仰の証とも言われています。



ところで、お不動様が安泰されている1968年に建立された現在の大本堂は、実は4代目。
初代の大本堂は、現在の薬師堂、2代目は光明堂で、3代目は釈迦堂。
大本堂から引退するときは、丸太を使って移動をしたそうです。
緻密な計画と大変な労力が必要だったのでしょうね。





さて、食いしん坊の私は境内でお食事をとれる場所があるのか気になります。
いわゆる茶屋と呼ばれるような所はありませんが、大浦ごぼうという長さ1m、胴回り
30cm、重さ4~5kgにもなる巨大なごぼうの含め煮をいただくことができます♪
成田山新勝寺の精進料理に欠かせない立派なごぼうの含め煮は、2~3日煮込むこと
によりお箸で簡単に切れるくらいの軟らかさに!
輪切りで出されるので、その太さにビックリすることと思います。
この縁起のよい精進料理は、野菜の煮物などど一緒にお膳に盛られ、大護摩を焚いた
方に振る舞われます。閑散期に限り一般の方も護摩を焚くと1,000円で食すことができま
すよ。
ぜひ、事前予約をしてくださいね。








成田山の総門をくぐり、右方面に参道を歩くと薬師堂が見えてきます。
この薬師堂には、何ともかわいい日本犬の姿をした狛犬があります。
戌の日に参詣すると子宝に恵まれるという信仰と結びついたもの。
ちょっと歩きますが、丸顔でかわいらしい狛犬は一見の価値ありです♪



成田山は、犬を連れて入ってもOKだそうです。但し、本堂や成田山公園はNG。
マナーを守って、ぜひ成田山を満喫してくださいね♪

今回の取材は、成田山新勝寺 企画調整課 内田尊明様にご協力いただきました。
ありがとうございました。


[Info.]
 
 名称:大本山成田山新勝寺
 所在地:〒286-0023 千葉県成田市成田1番地
 代表電話:0476-22-2111
 ホームページ:http://www.naritasan.or.jp