成田山表参道に、瓦屋根が印象的な立派な佇まいの和菓子屋さんがあります。
店内に足を踏み入れと、お客様で大変にぎわっているこのお店は「なごみの米屋」
という老舗和菓子屋さん。
この「なごみの米屋」、千葉県以外にお住まいの方にはあまり馴染みがない
かもしれません。
しかし、日本で最初に栗羊羹を考案したと言われている菓子屋だと言ったら、
老舗であるとともにいかに名店であるかを簡単にお伝えすることができると思います。
今回は、今年で創業115年を迎える「なごみの米屋」を紹介します。
成田山参道を歩いていると、土産物屋で「なごみの米屋」の羊羹を必ず目に
します。
明治32年、創業者・諸岡長蔵さんは「成田詣に来ているお客さまに喜んでもら
えるお土産を・・・」と栗羊羹を考案し、発売しました。
その商法は「一切値引きせず」「値切る方お断り」という徹底した定価主義。
値引き・おまけ付きの激しい商いが横行している中、米屋の商法は同業者や
客からも敬遠されました。
しかし・・・
原価ギリギリで定価を設定する商法は、次第にお客様の信頼を得るようになり
ます。
定価主義というのは、私たちバンガードと一緒なので、そのお話を聞いたとき
非常に嬉しく思いました。
「売るのではなく」「買っていただく」という品質本位で値引きの余地の無い商法に
非常に共感がもてます。
さて、私たち日本人にとっていつも身近にある食べ物が「和菓子」です。
和菓子は、私たちの生活の中でどのように関わっているのでしょう。
まず一つ目に、「健康」。
和菓子の材料となる小豆をはじめとする豆類、もち米や小麦などの穀類、
いも類やゴマなど、どれも自然のものばかり。
植物性由来の原材料ばかりなので、脂質もカロリーも低いのです。
二つ目に、「季節感」。
和菓子は日本の四季とのつながりが強く、四季折々の花鳥風月を表現して
います。
見た目も優雅であり、味覚だけでなく視覚にも訴えています。
店頭に並んだ四季を再現した菓子を見て、その季節を感じ取ることができる、
まさに日本人ならではの自然を賛美する心が伺えます。
そして三つ目に、「人生の節目」。
代表的なものに初節句。桃の節句には桜餅、端午の節句には柏餅を食し、
子供の成長を願います。その他、入学や卒業、就職祝い、結納・結婚祝いなど
の慶事にはいつも和菓子が存在しています。
食べることにより節目を感じることができる、これも日本ならでは文化ですね。
和菓子の歴史は古く、上古時代にまで遡ります。文字通り「果物」が始まりと
言われています。おじいちゃんやおばあちゃんが、今でも果物のことを「水菓子」
と呼ぶのはその名残といえます。
奈良・平安時代には、中国より菓子の製造方法が伝えられ唐菓子に工夫を加えた
独自の菓子が創りだされます。
羊羹は、中国に渡った禅僧により伝えられました。もとは羊肉を煮込んだ鍋物の
ことを指しますが、仏教の世界では肉を食すことは禁止されているため、小豆や
小麦粉を使い羊肉に見立てた精進料理がルーツだそうです。
羊羹…確かに漢字のままですね。なぜ羊なのか、謎がとけました!
さて、「なごみの米屋」の創業者である諸岡長蔵さんは、高い道徳観を持っており、
数多くの名言を残しています。
「己に薄く他に厚く」
「華実よりもまず根を肥やせ」
「上手な嘘よりも下手な正直がよろしい」
時代を超えて、現代に生きる私たちにも響いてくる言葉ですね。
米屋總本店の裏にある羊羹資料館には、長蔵さんが執筆した書物や筆書きの書が丁寧に飾られています。
この長蔵さんの信念は、創業以来脈々と米屋に受け継がれています。
時代が変わっても、変わらぬものがある・・・老舗の心意気を感じました。
成田山にお参りにくる機会がありましたら、ぜひ「なごみの米屋」總本店を訪ねて
みてはいかがでしょうか。
代々受け継がれてきた老舗の味を堪能してください。
そして、總本店裏にある羊羹資料館では、大正ロマンあふれる空間の中で、
真心と誠意を持って商いを行った米屋の歴史にふれることができますよ。
~ おまけ 和菓子ワンポイント ~
①「お萩とぼた餅」
お萩とぼた餅の違いをご存知ですか?
いろいろ諸説はありますが基本的には同じ。
『春はぼた餅、秋はお萩』という言葉があるように、食べる季節によって呼び
わけています。日本人は季節を大切にしていますね。
②「羊羹の数え方」
一棹(ひとさお)、二棹(ふたさわ)と数えます。
羊羹を流し固める型箱を「舟」といったことが由来だそうです。
「一棹 (ひとさお)ください。」なんて言ったら、通な感じがしますね♪
今回の取材は、米屋株式会社 営業企画課の宮内智様にご協力をいただきました。
ありがとうございました。
[Info.]
名称:なごみの米屋
所在地:〒286-0032 千葉県成田市上町500
代表電話:0476-22-1661
ホームページ:http://www.nagomi-yoneya.co.jp